日野町事件の再審開始決定

 今日、大津地方裁判所において、日本弁護士連合会が支援する再審事件「日野町事件」の再審開始決定がありました。1984年に発生した強盗殺人事件について、無期懲役を言い渡された阪原さんは7年前に病死しましたので、遺族を請求人とする死後再審です。阪原さんの生前に再審開始決定に至らなかったことが残念でなりません。現在の再審は、阪原さんの生前に請求された第1次再審に続く、第2次再審です。

 この事件の有罪判決は、もともと物的証拠に乏しく、実質的には自白に支えられていました。そのような中、再審請求審において、裁判所主導の下、積極的な証拠開示がなされ、自白と矛盾する客観的証拠の存在が明らかとなりました。そして、前年度、集中的な事実取調べが実施されていたため、関係者一同、今日の決定には大いに期待するものがありました。

 今日の決定は、白鳥・財田川決定が示した新旧証拠の総合評価を踏まえ、自白の信用性のみならず、任意性までも合理的疑いがあるとしました。私個人は、先月の袴田事件東京高裁決定の孤立評価とは正反対の印象を受けました。再審においては、確かに新証拠の存在も必要ですが、何よりも大切なのは新旧証拠の総合評価であり、この事件の冤罪性をどう考えるかという謙虚な姿勢だと思います。この点、今日の決定は最近の再審開始決定の中でも特に高く評価されるべきものと考えます。

 再審における証拠開示の重要性と裁判所の判断枠組みのばらつきを考えると、一刻も早い再審法の整備と、将来的には第三者機関による再審手続の創設が望まれます。

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