裁判員制度(3)

 8月3日~6日、東京地裁で全国初の裁判員裁判が行われました。私は、この事件や裁判の具体的内容について、報道で伝え聞く程度の情報しか持っていません。ですから、あの裁判で認められた犯罪事実がどうだったとか、刑の重さがどうだったとか、無責任なコメントをするのはやめておこうと思います。しかし、あの裁判が予想以上に注目されていたことと、法廷ではかなりかみ砕いた言葉でのやり取りがなされていたことは確かだったようです。

 私の裁判員制度に対する考え方は、昨年の7月、9月にこのブログで書いたとおりで、今も基本的には同じです。刑の重い事件ばかりが対象とされていること、刑の重さまで決めること、裁判員が経験したことを自由に話すのが難しいこと、他にも色々な問題はあります。しかし、始まってしまった以上、きちんと対応していかなければ、もっと大変なことになるでしょう。

 裁判員制度(1)

 裁判員制度(2)

 今まで、よほどの有名な事件でない限り、被疑者が逮捕されてしまえば、社会の関心はほとんどなくなってしまいました。私も、これまで何十回、何百回と法廷に立ってきましたが、よほどの有名な事件でない限り、傍聴席はガラガラでしたし、無罪を主張している難しい否認事件であっても、報道で取り上げられることは、ほとんどありませんでした。

 しかし、最近では、おそらく裁判員制度の影響もあるでしょう、裁判を傍聴する人もかなり増えましたし、刑事司法制度に関する本や報道も多く見られるようになりました。一昔前では、とても実現するとは思えなかった「取調べの可視化」についても、本格的な議論が展開され、あわよくば立法化されるのではないかというところまで来ています。これは、8月30日の衆議院選挙とも関係するテーマです。

 刑事司法制度については、様々な考えがありますし、私自身の考えも、決して多くの人達に共感してもらえるものばかりではありません。しかし、一人一人が他人事ではなく、身近な問題として注目し、真剣に議論してゆくことで、刑事司法制度は、これからどんどん良くなっていくのではないかと期待しています。刑事弁護人が最終的に目指すのは、やはり被疑者・被告人の権利保障なのですが、制度が良くなれば、これも充実していくと思います。きれい事かも知れませんが、今は本当にそう思います。

 私も、そのうち、裁判員裁判の法廷に立つことになるだろうと思いますが、実際の事件の弁護活動だけでなく、この制度が適正に運用されるよう、弁護士会の一員として色々と提案していきたいと思います。

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