通知書の使い分け

 弁護士は、日常的に様々な場面で書面による通知をします。依頼を受けたことを相手方に知らせる受任通知、相手方からの質問に対する回答書、交渉の過程で相手方に送る和解(示談)案、相手方の違法・不当な言動に対する警告など多種多様です。

 通知する場合、どのような通信手段を使うのかについては、ひと工夫が必要です。双方に代理人弁護士がついた場合は、FAXでやりとりするのが簡便で確実です(IT化の進んだ昨今、いまだにFAXが主流な伝達手段である業界というのは、珍しいものです。)。しかし、中には代理人弁護士を相手にするときも内容証明郵便にこだわる弁護士もいます。

 他方、相手方が個人の場合には、FAXではなく郵便を使うことが多くなります。意思表示の内容が重要な場合には内容証明郵便、相手方に到達したことがわかる程度でよければ特定記録郵便、信頼度の高い日本の郵便事情を踏まえ、代替性のある通知については、普通郵便で済ませることもあります。

 最近では、メールでやりとりすることも多少はあります。しかし、メールはいつでも送ることができるせいか、文章の推敲が不十分で、表現が過激なものになりがちです。それに、相手方が即座に反応しないと気になり、逆に、相手方に対し即座に反応しなければならないという無用な重圧を感じます。

 弁護士の中には、相手方とのやり取りにSNS(LINEやFacebook)を利用する方もいるようです。私はやりませんし、やるつもりもありませんが、よくよく考えれば、文字によって相手に意思を伝える点で、内容証明郵便もSNSも本質的には変わらないのではないかとも思います。

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