そう上手くはいかないけれど

 1月から3月まで、テレビドラマ「99.9刑事専門弁護士II」を観ていました。興味深かったのは、依頼者との向き合い方、実験を中心とした証拠の作り方、法廷での物の示し方などが、従来のこの種のドラマに比べてリアルに制作されていたことです。刑事弁護の実務を熟知している方が監修したとのことですので、それもそのはずと楽しませてもらいました。

 刑事事件に関して弁護士が登場する昔の映画やテレビドラマは、例えば利益相反の点に無頓着であったり、法廷でのアッと驚く仕掛けが明らかにうそ臭かったりして、ストーリーを楽しむ以前に、粗探しばかりしてしまい、そのような粗探しをする自分自身の度量の狭さに嫌気がさしてくるという悪循環が度々ありました。むしろ、英米の映画やドラマのほうが、法制度は異なるものの、共感できる部分が多かったように思います。

 ただ、今回のドラマにはひっかかる部分もありました。それは、現実はテレビドラマのように毎回そう上手くはいかないということです。ドラマの中では、試行錯誤を繰り返すうちに、毎回、形勢を逆転させるような決定的事実が判明し、弁護士は必ず無罪を勝ち取っていきます。しかし、現実には、実験などでいくら試行錯誤を繰り返しても、期待する結論を得られないことのほうが多く、むしろ依頼者にとって不利な事実が次々と出てくることがしばしばあります。重要なのは、それでも諦めずにやることが、私たち刑事弁護人の職責だということです。試行錯誤の結果、驚愕の良い結論にたどり着いたという経験は確かにあり、それは試行錯誤してみなければ絶対にたどり着けないのですから。

 もう一つ、現実には、冤罪だけでなく、事実関係に争いのない事件や、争っても被告人の主張は到底通らないだろうと思われる事件も多くあります。そういう事件に直面したとき、どこまで熱心に弁護に取り組むことができるか。まさに「なんで、『あんな奴ら』の弁護ができるのか?」ということですが、もし、この観点から掘り下げた映画やテレビドラマがあるならば、是非観てみたいと思います。

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