ワシントンD.C.(その2)

私が参加したプログラムのテーマは、”International Parental Child Abduction(IPCA)”です。例えば、母親が父親の同意なく、他国に子どもを連れて別居するといった問題です。米国においては、このような行為は、父親の親権を侵害する違法行為(損害賠償請求の対象にもなります)であり、また、犯罪となります。

違法に連れ去られた子どもを返還させるための手続を定めたものが、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事面に関する条約)です。この条約は、1983年に発効しましたが、日本が条約に署名したのは約2年前です。現在、ハーグ条約の締約国数は93か国です。

IPCAを理解するために、国務省、司法省、裁判所、弁護士、検察官、警察、行方不明の子どもを探す役割を果たしているNPOを訪問しました。また、親による子の連れ去りには、家庭内のDV(ドメスティック・バイオレンス)が関わるケースが多いことから、DVの被害者及び加害者をサポートするためのNPO、家庭問題を解決するための手助けをするNPOやソーシャルワーカーの方々とも面談をしました。IPCAという一つの問題に、様々な視点からアプローチすることで、立体的に理解を深めることができるという優れたプログラムでした。

このうち、ワシントンD.C.では、国務省、司法省、下院議員、DC Suprior Court(日本の地方裁判所に相当します)、NCMEC(行方不明および搾取された子どもの全米センター)を訪問し、それぞれお話を聞きました。

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