先日、東京で「調停トレーニング」に参加しました。
紛争を解決する方法には色々あって、当事者間で交渉したり、裁判所の調停や訴訟手続きを利用したりすることができます。裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)といって、裁判所以外の民間の紛争解決機関を利用することもできます。例えば、私があっせん人を務めている(公財)交通事故紛争処理センターや愛知労働局のあっせん・調停、ドイツ・ベルリンのMikkのメディエーションもADRです。
ADRは、中立公平な立場にある調停人が、当事者の間に入って話し合いをサポートします。訴訟手続きは、お互いに自分の主張を書面にして主張・立証する必要がありますので、基本的に対立構造となり、最終的には裁判官が判断をします。ですが、ADRは話し合いであって、どのように解決するのかを決めるのは当事者本人となります。
過去の出来事について白黒をつける、ということも事案によっては大切ですが、私は、当事者が未来に目を向けて解決を考えるというADRの特徴に魅力を感じています。とりわけ、家族に関する事案に携わっていますと、紛争はその方の人生全てではありませんから、紛争が解決した後の人生がより良いものであってほしいと思います。訴訟等によって傷つき、相手方と決定的な対立構造になる前に、お互いのニーズの重なり合う部分を育てることによって、話し合いで解決できればと考えており、そのような関心から、現在、日本弁護士連合会で「家事ADR」に関する会議体に関わっています。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/adr/kaji_adr.html
争っている当事者同士が、お互いに納得できる話し合いをするためには、間に入る調停人のスキルが重要です。当事者の話をよく聴き、適切な質問をすることによって当事者のニーズを理解し、当事者が自分で考えられるように中立公平な立場で物事を整理し、話し合いの「場」を最後まで保つということは、簡単なように見えて実は難しく、専門的なトレーニングを受けることが必要です。
「調停トレーニング」では、調停の研究者や調停人の経験豊富な講師からレクチャーを受けるほか、トレーニング参加者を当事者役と調停人役とに振り分け、調停のロールプレイをします。当事者役になったときには、調停人役の方の言動から学び、調停人役になったときには、上手く振る舞えている部分とできていない部分とを振り返るきっかけとなります。
調停人としてのスキルを身につけたく、このようなトレーニングに何度か参加してきましたが、トレーニング自体はもちろんのこと、問題意識や関心事、目標を同じくする参加者の方と交流できるのも楽しみの一つです。
