今や、インターネットを使えば、何でも調べることができます。パソコンだけでなく、携帯電話でも、検索エンジンにアクセスしてキーワードを打ち込めば、キーワードに関連するウェブサイトを拾うことができます。本当に便利な世の中になったものです。
法律の世界も例外ではありません。検索エンジンを使えば、基本的な法律用語はもちろんのこと、かなり踏み込んだ内容について詳しく書かれた専門的なサイトを発見することができます。私は、まだまだ基本的な情報は法律書や法律雑誌で調べることが多いのですが、インターネットの検索エンジンを使うこともかなり多くなっています。ただし、インターネットの情報がどこまで信用できるものか、常に慎重な見極めが必要だと考えています。
私は、法律問題に関してインターネットで調べ物をするときは、2つのリスクが潜んでいると考えています。一つは、その問題となっている事例が、インターネットで紹介されている事例と本当に同一といえるのか、本当に似ているのかという点です。そして、もう一つは、同一あるいは似ているとして、インターネットで紹介されている情報は、果たして本当に正しいのかという点です。
後者のリスクについては、そのウェブサイトが信用できる組織・人物による情報かどうかを慎重に判断すれば、ある程度、回避することができると思います。自分が誰なのかをはっきり名乗っている公刊物に近いレベルの情報であれば、ひとまず信用できるといえるでしょう。他方、誰が書いたのか分からないような個人のホームページや掲示板の書き込みは、うかつに信用できません。何でも載っている百科事典「ウィキペディア」も、確かに面白いのですが、要注意です。
難しいのは前者のリスクです。これはインターネットだけでなく、法律の調べ物全般に言えることかも知れません。調べ物をする人は、当然ですが、自分に有利な情報を探し求めています。そうすると、一見、同じような事例について書かれた情報を発見すると、無意識に、自分に都合の良いように無理な解釈をして、その情報を取り込んでしまいがちです。これは、一般の人だけでなく、法律家にも全く同じことが言えます。他方、情報を発信するほうも、できるだけ多くの人にその情報を利用してもらいたいと思うのが素直な心情でしょう。ですから、どことなく普遍的で期待させる表現になりがちです。このように、調べる側と調べられる側の双方の思惑が重なったとき、思わぬ勘違いが生まれてしまうのではないでしょうか。
とはいえ、インターネットの調べ物が便利なことは確かです。だから、これからも使い方を誤らないように活用したいと思います。