調停とメディエーション

家庭裁判所の調停は、1ヵ月から1か月半の間隔で期日が指定されることが多いです。家庭裁判所の空き状況や、代理人や調停委員の予定が合わない場合、2か月先になることもあります。

昨年から、イギリスのADR機関と共同してハーグ事件の調停を行う、という委員会活動に関わることになり、そのイギリスのADR機関では、1回あたり3時間のメディエーションを、連日、集中的に3回行うのが原則(例えば、ある日の「午前」と「午後」、翌日の「午前」といった感じです)という扱いを知りました(ハーグ返還訴訟と同時並行して行うことが多いので、メディエーションに費やせる日数に限りがあるという特殊性はもちろんあります)。私が調停としてイメージするところは、ひと月間隔の日本の調停でしたので、連日、集中的に話し合いを行う、しかも3回、ということに当初驚きました。それで解決できるのだろうか、とも思いました。

しかし、その後、連日の調停を経験する機会が、私にもありました。本人も、代理人も、調停人も、時間的、体力的に大変ではあリます。しかし、当事者双方に解決を望む気持ちがあれば、期限を設定されて連日話し合いを行うことにより、双方からできる限りのアイデアが出され、緊張感をもって問題解決に集中することができ、途中では行きつ戻りつも、全体としては建設的な方向に話し合いが進みやすいという効果があるのではないか、という印象を持ちました。事件を生きたまま扱う、というのでしょうか、ダイナミックさがあります。