養育費・婚姻費用の新算定方式の意義

昨日の夜は、弁護士会館で開催された「養育費・婚姻費用の新算定方式・新算定表公表記念シンポジウム 〜新算定方式・新算定表の提言 子どもの最前の利益のために」に参加しました。東京の弁護士会館で行われたシンポジウムですが、各単位会にもテレビ会議で中継されたのです。

新算定方式・新算定表についての研修会には、既に参加したことがあります。しかし、今回のシンポジウムではパネルディスカッションが行われ、パネリストとして、「婚姻費用分担事件の審理‐手続と裁判例の検討」(家裁月報62巻11号1頁)という論文を書かれた元裁判官の松本哲泓弁護士、国際家族法をご専門とされている福岡大学法科大学院の小川富之教授のお名前がありましたので、お二人が何をお話しになるのか興味がありました。

パネルディスカッションでは、現算定表は、個別具体的事情をふまえ、柔軟に利用されることが想定されていたものの、次第に硬直化し、現在では、上限値のような扱いをされていることが問題であるという指摘がありました。現算定方式にも、新算定方式にも問題はあり、個別具体的事情を考慮するのならば、本来はいずれの算定方式によっても同じ結論になるはずであるという指摘もありました。

そして、上記のお二方からは、外国では、養育費や婚姻費用については、子どものための費用であるがゆえに、税金として徴収するとか、行政が立替払いして求償することが制度化されているように、むしろ財務省や厚生労働省という行政が管轄すべき問題であること、生活費や面会交流について一定の取り決めがなされていることを協議離婚の成立条件とすべきではないか、という提言がありました。私も、これらの意見に賛成です。

今後、新算定方式が裁判実務で普及するかどうかは分かりません。しかし、現行の制度の是非を考え、それを変更するきっかけとして、大きな意義を持つように思います。