今週始めに、日弁連で行われたハーグ条約実施法に関する研修をテレビ会議で受講しました。
上記研修は、これまでにも何度か聴いていますが、今回の研修は強制執行に焦点をあてたものでした。ハーグ条約実施法の強制執行の規律(間接強制前置、同時存在の原則、執行場所の限定)について、私は、実効性に疑問があり、見直されるべきであると考えています。同実施法が施行されて間もなく3年が経過しようとしており(2014
年4月1日施行)、見直しについて検討する時期にきています。
この研修の中で、返還対象になった子どもが、TPから引き離され、LBPに引き渡されようとするときに、激しく泣き叫んでいる音声が再生されました。
私自身も、人身保護請求事件等で子どもが引き渡される場面に何度も立ち会いました。多くの子どもが泣き叫び、必死で抵抗していました。
上記強制執行の規律は、子の福祉や子どもの心情を配慮したものと説明されています。確かに、そういう考えも否定できませんが、しかし、どうやったとしても、強制的に引き渡される子どもに精神的負担がないわけはなく、子どもの心情を配慮したという言葉が白々しく感じられることもあります。
また、強制執行ができないというストレスは、引き渡される側の、引き渡す側に対する憎悪を募らせます。子どもの両親が感情的対立すれば、その後の親子関係の修復にも時間がかかります。
強制執行に至るまでに解決を促進するような制度や、強制執行に至ってしまった場合には、カウンセリングなど、子どもの精神的ケアを十分に図る体制を整えることが重要であるように思います。