夫が、交際女性との間に子どもをもうけ、その子どもを認知したことは、婚姻費用の分担額を減額すべき「事情の変更」にあたるでしょうか。
このような場合に減額を認めれば、不貞行為を追認することになるため信義則に反して認められない、という考え方もあるでしょう。
他方、認知された子どもにも十分な扶養を受けさせるのであれば、「事情の変更」として婚姻費用の減額が認められるべきです。
判例タイムズNo.1427に、上記の事案が掲載されていました。原審の岐阜地方裁判所中津川出張所は前者の考え方を採用し、抗告審の名古屋高等裁判所は「(子どもは)等しく扶養を受ける権利を有する」として、後者の考え方により判断しました(平成28年2月19日決定)。
夫が妻との関係では責められるべき立場にあってもも、夫が認知した子に対して扶養義務を負っている以上、子の福祉を害する結果になる判断はできない、ということでしょう。