報道の自由を守ること

日弁連が、4月14日付で「放送法の『政治的公平性』に関する政府見解の撤回と報道の自由の保障を求める意見書」を取りまとめ、昨日、総務大臣に提出しました。

これは、2月の衆議院予算委員会において、高市早苗総務大臣が、放送法4条1項2号の「政治的に公平であること」の規定に関し、「放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められるといった極端な場合においては、放送法4条に違反するものとして行政指導し、それでも改善されない場合には電波法76条に基づく電波停止の措置を採り得る」とういう答弁をしたこと等に関する意見書です。

日弁連の意見の要旨は、(1)政府が放送事業者の放送番組について、放送法4条1項2号の「政治的に公平であること」の該当性を自ら判断し、その判断に基づいて放送事業者に対する行政指導や電波法76条に基づく無線局の運用の停止等の処分を行うことは、放送による報道の自由を侵害するものとして許されない。(2)政府は、上記に反する見解を撤回し、放送局の自律的な取組によって放送倫理が確立されることを尊重すべきである、というものです(日弁連HPより)。

2月のアメリカ滞在中、ドナルド・トランプ氏のテレビ向け選挙CMを観ました。私が観たのは、移民をすべて犯罪者とするかのような内容でした。それを観たとき、こんなCMを放映してしまっていいのか、と思いました。ですが、放映を禁じてよいのかといえば、そう簡単な問題ではなさそうです。

これはCMですから、上記の番組編集の問題とは異なりますが、私は、トランプ氏のCMを観たことによって、これは酷いのでは、と考えることができました。人によっては、同じCMを観て共感することでしょう。いずれにせよ、情報に接したことで、判断をすることができたのです。何も知らされなければ、あるいは一部の情報に接することができなければ、自分の意見を正しく形成することもできません。

物事を判断するためには、あらゆる情報が必要です。一部の情報を政府の判断で止めてしまうということは、とても危険なことです。日弁連として、意見を述べるべき場面だと思います。