今年の5月26日に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。その背景として、空き家率(総住宅数に占める割合)が13.5%と過去最高の水準になっている状況があります。
管理されていない空き家には、工作物責任(民法717条)や火災・延焼のリスク、防犯・衛生・環境上の深刻な問題が生じます。
上記の「空き家等対策の推進に関する特別措置法」では、「空き家等」を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む)」と定義し、さらに、著しく保安上危険となるおそれのある状態、著しく衛生上有害となるおそれのある状態、著しく景観を損なっている状態、及び周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態にあると認められる空き家等を「特定空き家等」と定義しています(2条)。
市町村長は、「空き家等」について、立入検査権(9条)や空き家情報の利用権(10条)があり、「特定空き家等」の所有者に対しては、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空き家等については、建築物の除却を除く。)をとるよう助言又は指導をすることができます(14条)。この勧告に従わなければ命令が、それにも従わなければ行政代替執行がなされます。つまり、行政の指導に従わない場合には、強制的に空き家を取り壊され、空き家所有者はその費用を負担しなければなりません。
そして、平成27年度税制改正により、空き家として認定された建物のある敷地に関する住宅用地に課する特例(小規模住宅用地は課税標準の1/6まで減額、一般住宅用地は課税標準×1/3まで減額)が廃止されます。敷地上に建物を残しておくメリットがなくなるというわけです。
空き家が生じる原因には、相続(遺産分割協議がまとまらない、相続人が遠方に在住している)、高齢化社会(判断能力の低下により管理困難)、建築基準法の接道要件を充たしていない場合と様々ですが、いずれについても早めの対策が何より重要です。