追加変更工事(建築関係訴訟)に関する主張・立証

建築請負関係の事件では、「追加工事」「変更工事」(以下「追加変更工事」といいます。)について争点になることがあります。具体的には、「追加変更工事」について合意があったのかどうか、合意があったとしてどの様な内容であったのか等です。追加変更工事については、契約書や見積書が作成されていない場合が多く、なかなかに複雑で、整理を要する問題です。

この点について、新しい判例タイムズ(No.141287頁)に、名古屋地方裁判所の民事プラクティス検討委員会の「請負報酬請求事件における追加変更工事に関する実務上の諸問題」という論文が掲載されていました。名古屋地方裁判所の裁判官が、追加変更工事が問題となるケースについて類型化し、主張・立証の構造や事実認定の仕方を整理しています。

例えば、請負人の追加変更工事に関する報酬請求に対し、注文者が追加変更工事の合意を争う場合の主張について、1)発注の指示がない(無断施行)、2)本工事に含まれる、3)本工事の手直し工事である、4)無償(サービス工事)である、と類型化したうえ、それぞれにおいて検討すべき書証や事実認定の傾向・ポイント、多くの裁判例が紹介されています。

裁判官が実務上の取り扱いをふまえて執筆された論文は、弁護士が事件処理をするにあたり、大変参考になります。