面会交流の調停・審判の申立てがあり、面会交流を実施するかどうか、実施するとしても、その具体的内容について当事者間の協議が整わない場合、家庭裁判所がそれを審判で定めます。審判書には、別紙として「面会交流実施要領」が添付されています。
最近の判例雑誌に、家庭裁判所の一般的な対応や判断の基準を示す一つの事例として、京都家庭裁判所の平成26年2月4日の審判が紹介されていました(判例時報2255号105頁)。
離婚後、母親が3歳11ヶ月の男児を監護養育しており、父親とは宿泊を伴う面会交流も行われていたのですが、母親が面会交流の適正な内容や方法を定めることを求め、調停申立てをした事案です(その後、審判手続に移行)。
父親は、1)1か月に2回、そのうち1回は宿泊付の面会交流、2)場所は制限しない、3)保育園の運動会などの行事に参加する、4)誕生日やクリスマスにプレゼントを渡す、等を主張し、母親は、1)3か月に1回の日帰りの面会交流、2)仮に父親の希望どおりの回数を認めるのなら、場所は未成年者の居住する市内に限定する、3)宿泊付面会交流を実施した月は日帰りの面会交流はしない、4)保育園の行事への参加は約束できないが、子が希望した場合には認める等、主張しました。
裁判所は、1)毎月1回、日曜日の午前9時から午後5時まで、2)夏休みと冬休みに2泊3日程度の宿泊を伴う交流、2)最初の2回のみ、未成年者の居住する市内に場所を限定する、4)待合せ場所と待合せの方法を特定、4)保育園の意向に反しない限り、行事への参加を認める、5)プレゼントの渡し方、6)面会日等の変更方法、6)父母間の連絡方法などを具体的に定めました。
この事案については、「面会交流の頻度や内容等は、同居期間中の相手方と未成年者との関係、これまでの相手方と未成年者との面会交流の状況、未成年者の年齢や生活状況、申立人と相手方双方の生活状況等を考慮して決定すべき」と基準が示されているとおり、子の負担と父親との交流確保のバランスを勘案しながら、これまでの実績が考慮されたものだと思われます。