成年後見制度に関する研修会に出席しました。
愛知県弁護士会では、成年後見人として業務を行うにあたり、定期的な研修が義務づけられています。本日のテーマは、「後見監督」と「後見制度支援信託」でした。
高齢化社会を迎え、成年後見等のニーズが高まっていますが、他方、後見人等による不正(横領など)が多数発生しています。上記の「後見監督」や「後見制度支援信託」は、それを予防するための制度です。
後見制度支援信託は、平成24年2月に導入されました。被後見人の財産のうち、日常的な支払等に必要かつ十分なお金(200〜300万円が多いようです)は、後見人が手元で管理するが、それ以外のお金は信託銀行(現在、取扱いは4行)に信託するというものです。
名古屋家裁では、預貯金額が1200万円以上の新規申立事件で、親族を後見人を候補者とする案件については、後見制度支援信託の検討対象とする運用です。さらに、親族後見人によって、既に管理継続中の案件についても、同制度が適用されつつあります。これまで何の問題もなく、財産管理を継続してきた親族後見人が、家庭裁判所から、突然に「後見監督」や「後見制度支援信託」を利用するよう求められ、戸惑われたり、憤慨したりする、という状況が実際に発生しています。
本日の研修では、上記制度に適さない場合として、1)信託できない財産(不動産等)が多い、2)身上監護面で収支予定を立てるのが困難(転院の予定がある等)、3)遺言がある、4)親族後見人に適格性がない、5)親族間紛争がある、という例も紹介されました。
被後見人の財産を守ることは、もちろん重要ですが、例えば、被後見人に強い思い入れがあり、特定の銀行に預金を預け入れることを望んでいた場合など、その思いに反して、一律に信託制度を利用するのは、被後見人の意思尊重との関係では、微妙な問題があるところです。