海外勤務をした場合、給与収入とは別に、駐在給与や赴任手当が支給されることがあります。
駐在地の生計費を考慮し、海外赴任を奨励するのが支給目的と考えられています。
駐在給与や赴任手当は、海外勤務期間中に限定された加給であるところ、婚姻費用算定のための「基礎収入」に加算されるのでしょうか。
この点について、東京高等裁判所の平成26年6月3日決定は、婚姻費用算定のための「基礎収入」には加えないと判断した原審判を取り消し、「海外駐在給与は、その額及び支給期間に照らすと、単なる一時的な所得に止まるものではない」「(婚姻費用)算定の基礎となる収入に含めないとするまでの根拠を見出すことはできない」として、駐在給与を収入に加算して婚姻費用を算定するのが相当であると判断しました(判例タイムズNo.1410、111頁)。
上記は、給与収入が約1254万円であったのに対し、海外駐在給与が年間約566万円、赴任期間は4ないし5年程度が予定されていたという事案です。
昨今は、海外赴任もめずらしいことではありません。事例として参考になると思われます。