離婚の後、親権者になった方が、お子さんが未成年のうちに自分が死亡した場合に備え、お子さんの後見人(未成年者後見人)を第三者(お子さんの祖父母など)に指定する遺言を作成することがあります。
これについて、判例時報(No.2248)に、大阪家庭裁判所の審判及びその抗告審の決定が掲載されていました。
事案は、親権者となった母親が、子の祖母を未成年者後見人に指定する遺言を残して死亡したところ(=未成年後見が開始)、子の父親が、親権者を自分に変更するよう求めたというものです。裁判所は、「親権者と定められた一方の親が死亡して親権を行う者が欠けた場合に、他方の親が生存しており、未成年者の親権者となることを望み、それが未成年者の福祉に沿う場合においては、親権者変更の可能性を認めることが相当と解される」として、父親の申立てを認め、親権者を父親に変更しました。
「未成年者の福祉に沿う場合」であるのかどうか、「子の利益のために必要があると認めるとき」(民法819条6項)に該当するのかどうかについて、検討されたうえでの判断だと思われますが、遺言者の意思に反する結果になるわけですから、慎重に検討されるべき問題だと思います。