帰宅時に車でラジオを聴いていましたら、本日、最高裁判所において、言葉によるセクハラ行為を繰り返した社員に対する懲戒処分(出勤停止及び降格)が妥当である旨の判断が下された、というニュースが流れました。
裁判所のホームページには、判決書の全文が公開されています。
最高裁判所は、懲戒処分を受けた男性らが、1年余にわたり、「極めて露骨で卑わいな発言」「著しく侮蔑的ないし下品な言辞で同人らを侮辱し又は困惑させる発言」を繰り返した行為は、「女性従業員に対して強い不快感や嫌悪感ないし屈辱感等を与えるもので、職場における女性従業員に対する言動として極めて不適切なものであって、その執務環境を著しく害するものであったというべきであり、当該従業員らの就業意欲の低下や能力発揮の阻害を招来するもの」としました。
不適切な発言とされたのは、「夫婦間はもう何年もセックスレスやねん」「でも俺の性欲は年々増すねん。なんでやろうな」「今日のお母さんよかったわ..」「かがんで中見えたんラッキー」「いくつになったん」「30歳は、22、3歳の子から見たら、おばさんやで」「30歳になっても親のすねかじりながらのうのうと生きていけるから、仕事やめられていいなあ。うらやましいわ」などというものです。
また、会社がセクハラ防止のために種々の取組みを行っていた中、管理職であって、部下職員を指導すべき立場にある男性らが、1年余のセクハラ行為等を繰り返したことは、職責や立場に照らしても著しく不適切であるとしました。
さらに、男性らの「明白な拒否の姿勢を示されていない」「女性従業員から許されていると誤信していた」という主張に対しては、「職場におけるセクハラ行為については、被害者が内心でこれに著しい不快感や嫌悪感等を抱きながらも、職場の人間関係の悪化等を懸念して、加害者に対する抗議や抵抗ないし会社に対する被害の申告を差し控えたりちゅうちょしたりすることが少なくない」としました。
その結果、出勤停止30日、出勤停止10日の各出勤停止処分が、懲戒処分として重きに失し、社会通念上相当性を欠くということはできない、と結論しています。
言葉によるセクハラとは何か、会社はどう対応すべきかを検討する上で、参考になる事例であると思います。