親権者に何かあったら(未成年後見)

離婚によって、親権者になった方から、「子どもが成人するまでの間に、親権者である自分に何かあったらどうなりますか。別れた配偶者(元夫、元妻)のところに親権が自動的に戻ってしまうのでしょうか」というご質問を受けることがあります。

親権者であった一方の親が亡くなった場合であっても、他方の親に親権が移るわけではありません。

未成年の子どもに親権者がいない場合、民法838条1号により、「未成年後見」が開始されます。

未成年後見人は、未成年である子どもの監護養育、財産管理等を行います。未成年後見人は、未成年者及びその親族、その他利害関係人が、家庭裁判所に「未成年後見人選任」の申し立てをすることにより、家庭裁判所が選任します(民法840条)。

あるいは、親権者であった親が、遺言を作成して、自分の親族(子どもの祖父母、おじ、おば)などを未成年後見人に指定していれば、家庭裁判所の手続きを経なくても、指定された人が未成年後見人になることができます(民法839条1項)。

もっとも、親権者でなかった他方の親が、子どもの監護養育等を希望する場合、家庭裁判所に「親権者変更」を申し立て、自分を親権者にすることを求める手続きをすることができます。

そうしますと、子どもを監護養育していた親側の親族と、親権者の変更を求める他方の親との間で、子どもの監護養育をめぐって紛争が生じる可能性があります。そのような場合、家庭裁判所は、どちらの環境が子どもの福祉に適うのかを考慮して判断することになります。