土地管轄

各裁判所間の事件分担を管轄といいます。ある事件で裁判を起こすとき、どこの裁判所に訴状を持っていけばよいかという問題です。

土地管轄については、原則として、訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属するとされています(民事訴訟法4条1項)。つまり、裁判を起こす原告からみて、相手方である被告の住所を基準に裁判所を決めます。原告の住所が名古屋市内にあっても、被告の住所が岐阜市内にあれば岐阜地方裁判所に、四日市市内にあれば津地方裁判所四日市支部に裁判を起こすことになります。

しかし、この点については多くの例外があります。よく利用する例外には、次のようなものがあります。

財産権上の訴えは、義務履行地を管轄する裁判所に提起することができます(民事訴訟法5条1号)。債権回収事件の多くは、この条文を適用し、原告の住所を基準に裁判所を決めることができます。

不法行為に関する訴えは、不法行為があった地を管轄する裁判所に提起することができます(同条9号)。例えば、交通事故の場合、事故が発生した場所を基準に裁判所を決めることができます。

不動産に関する訴えは、不動産の所在地を管轄する裁判所に提起することができます(同条12号)。建物明渡しの事件など、この条文もよく使われます。