マタニティハラスメント(マタハラ)

最高裁判所が、妊娠を理由に降格されたのは、男女雇用機会均等法(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律)に反すると判断したことが大きなニュースとなりました。

最高裁は、男女雇用機会均等法9条3項が、妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進する目的や、母性の尊重と職業生活の充実の確保という基本的理念を実現するための強行規定(=当事者の意思にかかわりなく適用される規定)であることを確認し、妊娠中の軽易業務への転換を契機とした降格措置は、原則として同法が禁止する不利益な取扱いに当たるとしました。そして、降格された女性が、自由な意思に基づいて降格に承諾したのかについて、実質的に検討したのです。

さらに、櫻井裁判長は、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)10条についても、男女雇用機会均等法と同様に解釈される旨の補足意見を述べています。

マタニティハラスメントは、セクハラやパワハラと同様、働く意欲ある方に対する重大な人権侵害です。
今後、男女を問わず、働きやすい環境を確保するため、妊娠・出産、育児、介護との両立について、職場全体の意識改革とバックアップ体制の構築が求められると思います。

男女雇用機会均等法9条3項
「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法 (昭和22年法律第49号)第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」

育児・介護休業法10条
「事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」