安心して暮らすために(財産管理、任意後見)

一人暮らしの方や、健康に不安を抱えた方などから、財産管理や任意後見のご相談を受けることがよくあります。判断能力が低下してから利用する成年後見制度とは異なって、将来に備え、お元気なうちに契約をするのが財産管理や任意後見です。

例えば、戦争で夫を亡くし、お子さんがいらっしゃらない女性から、財産管理と任意後見を合わせて依頼を受けたことがあります。

高齢のため、お金を管理するのが不安ということだったので、財産をお預かりし、その方のために施設利用料や医療費等をお支払いしました(財産管理)。また、その方の判断能力が低下したときには、裁判所の監督下で、私が引き続き財産管理できるように手続きをしました(任意後見)。お会いするたびに、「先生に任せてあるから、もうお金のことは心配しなくていいね。私は安気に暮らせばいいね」と仰っていました。最後までお元気で、任意後見の手続きをすることはなく、財産管理を始めて約6年後にお亡くなりになりました。

その方は、遺言を作成しており、私を遺言執行者に指定していました。そこで、亡くなられた後は、お預かりしている財産から葬儀費用をお支払いし、遺言の内容を実現しました。

私も40代になって、親や自分自身の老後を考えるようになりました。
法制度を利用して、その方が安心して歳を重ねられるお手伝いができればと思います。