相続法が変わる

法制審議会民法(相続関係)部会が、相続法改正・要綱案のたたき台を公開したことから、現在、日弁連から各単位会に対して、このたたき台に関する意見照会がなされています。予定では、平成30年2月に開催が予定されている法制審議会に、要綱案が提出されます。私は、愛知県弁護士会の司法制度調査委員会に所属している関係で、相続法改正の検討に関わっています。

示された要綱案のたたき台は、これまでの相続法の枠組みを少なからず変更するものです。新しく創設される制度の一つに、被相続人の療養看護その他の労務を提供し、それにより被相続人の財産形成に「特別の」寄与をした相続人以外の者を対象に、各相続人に対する金銭請求権を認めるものがあります。

相続人以外、すなわち親族でない者の権利を、相続人と競合させるのですから、もはや「相続法」の枠組みを超えているのではないかと思えます。

かかる制度が適切であるかについて検討すると、そもそも「相続」の根拠は何なのかと考えます。なぜ、一定の身分関係を有する者に権利承継をさせる「相続」という制度がそもそもできたのだろう、その正当性はどこにあるのだろうと。

被相続人の意思なのか、遺族の生活保障のためなのか、被相続人の財産形成に寄与した相続人の潜在的持分の実現なのか、取引関係の安定なのか、社会秩序の維持なのか、諸説あるようです。

相続が、社会秩序を維持するための政策的な制度であれば、想定される秩序は時代の要請に応じて変化して然るべきであり、よって相続法も変化して当然、という考え方も成り立ちうるでしょう。

しかし、政策的なものであるのならば、法の規定によって社会秩序の形成に大きな影響を及ぼすのであって、それが本当に妥当であるのかについては慎重に検討すべきです。