相続法改正の中間試案~その6~

せっかくなので昨日に引き続き、相続法改正の中間試案の内容をご紹介します。改正提案の大きな項目としては、本日の「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」が最後となります。

この提案は、現行法上、寄与分が相続人にのみ認められていることから、相続人以外の者(例えば、相続人の妻が例示されています)が被相続人の療養監護等をした場合であっても、財産を取得することができず、当事者間の実質的公平を害しているという問題意識を背景としています。現行法の特別縁故者、準委任契約、事務管理、不当利得といった制度によって手当てするのは困難であるため、新しい制度を創設しようとするものです。改正の検討が始まった当初には、療養看護型の寄与分について特別な規定を設けることや、遺産分割の当事者に含めることも検討されていましたが、中間試案は以下のようになりました。

それは、特別の寄与をした人を遺産分割の当事者とするのではなく、その人に相続人に対する金銭請求権を認め、相続人に法定相続分に応じた責任を負わせるというものです。この金銭請求権は相続開始を知った時から一定期間(例えば6か月)で時効消滅し、除斥期間(例えば1年)が設定されます。これは法律関係の早期安定を図る趣旨です。請求権の有無や金額について折り合いがつかなければ、家庭裁判所が判断します。そして、請求に歯止めかけるため、ⅰ)請求権者の範囲を限定する考え方と、ⅱ)貢献の対象となる行為を限定する考え方が提案されています。前者は二親等内の親族に限定し、後者は請求権者は限定しないけれども,対象行為を無償の労務提供に限定するのです。

この提案に対するパブコメの結果は、賛否拮抗しています。被相続人の療養監護等に努めた人の保護を図る必要があるとして賛成する意見と、相続に関する紛争が複雑化・長期化するおそれ(相続人の立場からは、金銭請求の有無や金額が確定するまでは遺産分割について検討及び判断することが困難になる)があるとして反対する意見に分かれています。そして、賛成意見においては,貢献の対象を無償の労務提供に限定するⅱ)の考え方が比較的多数です。ⅱであれば、内縁の妻や事実上の養子なども請求権者となります。

日弁連の意見書は、この提案に反対しており、かなりの頁を割いて問題点を指摘しています。もっとも、法制審議会の資料によれば、今後は問題点の解消に向けた検討を行い、その検討結果を踏まえて見直しの是非を判断するとしています。この「相続人以外の者の貢献を考慮するための方策」について法制審議会の部会が開催されるのは、来年3月28日です。

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