自筆証書遺言について

昨日の家族法チームで報告された中に、遺言の有効性についての判例が複数ありました。

平成27年11月20日の最高裁判決で、遺言者が、自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し、遺言を撤回したものとみなされた事例(判例タイムズ1421号105頁、判例時報2285号52頁)や、遺言者が遺言能力を欠いていたとして、自筆証書遺言が無効とされた東京地方裁判所の平成26年11月16日判決(判例タイムズ1421号295頁)です。

上記は、いずれも自筆証書遺言に関する判例です。自筆証書遺言は、その有効性が争いになることも多く、多数の裁判例が集積されています。裁判所がどのような事実に注目し、その事実に対してどのような評価をしたのかを知ることができます。

また、現在、法制審議会の相続関係部会では、厳格な自筆証書遺言の方式(民法968条)を、緩和することが検討されています。具体的には、自書を要求する範囲を小さくするとか、加除訂正の方式について、「署名及び押印」を要求せず、「署名又は押印」で足りるといったものです(法制審議会民法(相続関係)部会・部会資料11「中間試案の取りまとめに向けた議論のためのたたき台」より)。

最新の動向に注意しておきたい分野のひとつです。

民法第968条
1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。