書面の表現について

数日前、元朝日新聞の記者の方が、捏造記者等と表現されたことに対し、名誉を傷つけられたとして、出版社等に慰謝料を求めている裁判の報道がありました。

弁護士が作成する裁判の書面でも、相手方を人格攻撃したり、誹謗中傷する表現が使用されている場合があります。

裁判所に提出された書面について、相手方当事者やその弁護士に対する誹謗中傷が行き過ぎているとして、書面を作成した弁護士に慰謝料の支払を命じた裁判例も、時折、判例雑誌に掲載されています。

そういえば、私も、相手方代理人から「三百代言」と書かれたり、「ねつ造」という言葉を繰り返し使用されたりしたことがありました。

ちなみに、「三百代言」とは、明治時代、弁護士の資格が無いのに他人の訴訟や裁判を引き受けた人のことであり、ひいては、弁護士のことを蔑すむ用語です。

確かに、代理人業務においては、交渉でも、訴訟でも、相手方の主張の弱い部分を突くという側面はあります。しかし、主張立証に必要な範囲を逸脱した表現は不要です。裁判の結果に何の影響も与えず、意味がないからです。

おそらく、上記のような表現を使用するのは、自分の依頼者に強い弁護士であることをアピールしたいという側面があるのだろうと推測します。ですが、その依頼者は、そのような表現が裁判の結果にとって意味のないものであることを知らされているのだろうか、と思います。

また、裁判も紛争解決の一つの手段であるはずなのに、相手方をいたずらに攻撃して、何をしたいのだろうと思います。

さらに考えてみるに、代理人が私ではなくて、そのような表現を使用する弁護士にとっては先輩にあたる弁護士であったならば、そして、男性弁護士であったのならば、果たして、そのような表現を使ったのだろうか、とも思うのです。

弁護士には弁護士職務基本規程があり、その規程の第5条には「弁護士は、真実を尊重し、信義に従い、誠実かつ公正に職務を行うものとする」、第6条には「弁護士は、名誉を重んじ、信用を維持するとともに、廉潔を保持し、常に品位を高めるように努める」と定められています。

書面作成をする際には、常に気をつける必要があります。