イヴの夜空の下で

弁護士の業務は多岐にわたります。裁判所に関わるものとしては、当事者の代理人や被告人の弁護人であったり、成年後見人、破産管財人などがあります。

また、事件数は少ないですが、人身保護請求事件における国選代理人という役割もあります。

人身保護請求とは、英米法のヘイビアス・コーパスの制度に由来しており、不当に奪われている人身の自由を回復するための手続きです(人身保護法第1条)。もっとも、現実には、例えば、別居中のご夫婦間において、子どもの引渡しを実現する最終的な手段として利用されることがあります。申し立てする側は「請求者」、申し立てられる側は「拘束者」、取り戻しの対象は「被拘束者」と呼ばれます。

この人身保護請求事件において、「被拘束者」のために、裁判所が選任する代理人が「国選代理人」です(人身保護規則第31条)。私も、この「国選代理人」を何度か経験したことがあります。

子ども(被拘束者)が生活している場所を訪問し、一緒に遊んだり、話をすることで状況を確認し、請求者と拘束者からそれぞれお話を伺うなどの調査を行います。家庭裁判所の調査官と似ていますが、被拘束者の代理人という立場です。

請求者と拘束者の双方からお話を伺うと、ボタンは掛け違ってしまったけれども、それぞれがお子様のことを一生懸命に考えていることが分かります。普段、一方当事者の代理人としての視点からは、見えにくいところです。

私自身が心掛けていたことは、双方当事者に公平に接すること、許される限度でできるだけの時間をとること、双方当事者に読んでほしいという気持ちで報告書を作成することでした。今後、お子様との関係を築いていただくために、一方当事者からは見えにくい部分を知っておいて頂きたかったからです。

自分が依頼した代理人ではない別の弁護士が、いわば中立的な立場で新たに事件に関わることで、それまでは限界まで張りつめていた場に、空気の通り道ができたような役割は果たすことができたように思います。

今日はクリスマスイヴです。私が国選代理人として関わった方々が、満ち足りた気持ちでクリスマスを過ごされていることを願います。