クロスバイクと製造物責任

最近、ロードバイクやクロスバイクといった、スポーツタイプの自転車で通勤する人を多く見かけるようになりました。確かに、自転車で颯爽と走るのは気持ちのよいものです。

もっとも、私自身もスポーツタイプの自転車に乗るのですが、時折、もし自転車に不具合があって転倒してしまったら大変なことになる、という考えが頭をよぎることもあります。

そのため、少し前の判例雑誌に掲載されていた、クロスバイクの転倒事故について製造物責任法上の欠陥を認め、それを輸入した業者に対する損害賠償請求を認めた判例(東京地判H23.3.25、判例タイムズ1415号346頁)は、人ごとではない気持ちで読みました。

裁判における争点は、(ア)事故原因、(イ)製造物責任法3条所定の「欠陥」の有無、(ウ)過失相殺をするべきか、の3点でした。

この点、東京地裁は、(ア)について、転倒態様、自転車の損傷状況等から、事故は走行中のサスペンション分離により生じたものと認定しました。そして、(イ)については、サスペンションが走行中に分離する事態はおよそ想定されておらず、原告が通常の使用形態の範囲内で走行していたこと等から、当該自転車は「通常有すべき安全性」を欠き、欠陥があると判断したうえで、事故原因が主張立証されれば、製造物責任法に定める「欠陥」の主張立証としては必要十分であって、サスペンションの構造上の不具合について主張立証する必要はない、と判示しました。

また、この自転車は、購入から約6年4か月という長期間が経過しており、その間、一度も点検やメンテナンスがなされていませんでした。そのため、原告の過失の有無が争われました。この点については、同種自転車の利用者が定期点検を受けることは常識になっているとはいえないとして、原告に一定の過失は認めつつも、その割合を1割にとどめました。

特に目新しい判断がなされたわけではありませんが、判断の流れ等について参考になります。