違憲審査制

憲法第81条は「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と定めます。これを違憲審査制といいます。

違憲審査権については、ドイツやフランスのように独自の憲法裁判所を設置し、そこが違憲審査権を持つ場合もありますが、日本では、高等裁判所から上がってくる不服申立案件を取り扱う最高裁判所が、最終的な違憲審査権を持ちます。

国会が作り、内閣が執行する法律について、それが憲法に適合するかしないかを判断するというのですから、最高裁判所には、さぞかし強力な権限があるようにも見えます。しかし、日本の最高裁判所は、具体的に訴訟が係属している場合において、その紛争を解決するために必要な範囲内でのみ違憲審査をすることができるとされています(付随的違憲審査制)。また、合憲・違憲の判断は、その裁判にしか効力が及ばず、違憲とされた法律も、国会がこれを廃止しない限り、生き続けることになります(個別的効力説)。しかも、最高裁判所は、何でも判断するわけではなく、国家統治の基本に関わる高度に政治性を有する問題については判断しないという暗黙のルールがあります(統治行為論)。このような制約があるため、最高裁判所が積極的に違憲審査をする場面は、実は非常に限定されています。

最高裁判所の権限が強すぎると、民主主義的な手続(選挙)で選ばれた国会議員が決めた法律を、民主主義的でない手続で選ばれた裁判官が容易に変えることができ、民主主義の観点から好ましくありません。その意味で、現在の制度は、理にかなっているといえます。

この点、最近の国会における集団的自衛権の議論の中で、議員が「砂川判決」を持ち出して「最高裁判所がこう言っているから正しい」という趣旨の発言することには、「砂川判決」の理解が正しいかどうかはさておいて、どこか違和感があります。