憲法が定める刑事手続

日本国憲法には、第31条から第40条まで、主に刑事手続に関する定めがあります。諸外国の憲法の中でも、かなり詳しい内容となっています。例えば、適正手続、裁判を受ける権利、逮捕・勾留の要件、拷問の禁止、自己負罪拒否特権、弁護人依頼権、二重処罰の禁止、刑事補償など、どれも重要な規定です。

表現の自由、学問の自由、生存権など、国民の権利や自由について定めた条文に続いて、これほど詳しく刑事手続に関する条文が盛り込まれたのには、理由があります。ある権利や自由を保障するという実体法だけでなく、その権利や自由をどのように保障するのかという手続法まできちんと定めておかなければ、その権利や自由は保障されないに等しいからです。日本国憲法は、戦前の反省を踏まえて、特に手続の保障を手厚くしたともいえます。

残念ながら、現実の裁判では、必ずしも憲法の趣旨を踏まえた法の適用がなされているとは言い難い側面もあります。しかし、私たち法律家は、常に憲法に立ち返った法の適用を心掛けなければならないと思います。