生存権

憲法第25条第1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めます。生存権という重要な人権です。

人権には、個人が何かをすることについて国から制限を受けない(刑罰を科せられない)という自由権と、人間らしく生きるために、個人が国に対して積極的な施策を求めることができるという社会権があります。昨日取り上げた表現の自由は自由権に分類され、生存権は社会権に分類されます。生存権は社会権ですから、さらに第25条第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とも定めています。

生存権が具体的に問題となる場面として、例えば、生活保護制度が挙げられます。生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とする制度です。格差社会を象徴するかのように、 現在の生活保護受給者数は、過去最高水準の約216万人、特に65歳以上の高齢者世帯が約半数を占めており、高齢者の貧困が社会問題となっています。

ここ数年、生活保護の不正受給の問題が大きく取り上げられることがあり、制度自体への批判も強くなっているようです。確かに不正受給は許されないことですが、その点ばかりに注目して生活保護のハードルを上げ過ぎて、大多数の本当に困っている受給者の生存権が脅かされるようなことがあってはならないと思います。