選択的夫婦別姓について

2月18日、結婚するときに夫婦別姓を選ぶことができない民法の規定が憲法に違反するかどうかが争われている裁判で、最高裁判所が15人の裁判官全員による大法廷で審理することを決めたというニュースがありました。今、選択的夫婦別姓制度の是非が注目されています。

現在の民法750条(夫婦の氏)は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と定めています。結婚する夫婦は、必ずどちらかの姓に揃えなければなりません。これに対し、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ19年前の「民法の一部を改正する法律案要綱(平成8年2月26日法制審議会総会決定)」は、次のような内容になっています。

第3 夫婦の氏
 1 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。
 2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称する氏として定めなければならないものとする。

両者の違いは、要綱のほうに「又は各自の婚姻前の氏を称するものとする。」と付け加えられた部分です。

選択的夫婦別姓制度がなかなか導入されなかった背景には、「夫婦別姓は家族制度を崩壊させる」「子どもがかわいそう」といった根強い反対論があるようです。しかし、要綱は夫婦別姓を強制するものではありません。「家族制度が崩壊する」「子どもがかわいそう」と考える人は、どちらかの姓に揃えることを自由に選択することができます。このように、選択的夫婦別姓制度は、夫婦の選択肢を増やすものなのですが、まるで夫婦別姓を強制されるような受け止め方をされる例が多いように感じます。

日本社会において結婚するときに姓を変えるのは、ほとんどが女性です。しかし、女性の社会進出が強く意識されるようになった現在、女性の仕事への関わり方も多種多様なものになってきました。結婚前から社会で活躍してきた女性が途中で姓を変えることは、様々な登録事項を変更したり、本人確認で苦労したり、それまで築いてきた人間関係への影響に配慮したりなど、意外と大変です。

この議論をするときには、自分ではなく「他人が夫婦別姓を選択した場合、その他人の家族が崩壊する。その他人の子どもがかわいそう。」と本当に言えるのかについて、他人の自由をどのような形で尊重するのかという視点から考えてほしいと思います。