時効あれこれ

少し前の判例雑誌に、NHKの受信料債権の消滅時効について、最高裁が「5年」と判断した判例が掲載されていました。昨年9月にニュース等で報道されていましたので、覚えていらっしゃる方も多いのではないかと思います。

この裁判では、受信料債権に民法169条(定期給付債権:年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、5年間行使しないときは、消滅する。)が適用されるどうかが争われたのですが、最高裁は同条の適用を認めました。民法169条に規定する定期給付債権とは、一定の法律関係を基礎として、1年以内の定期に順次発生する債権のことです。たとえば、マンション管理組合が区分所有者に対して有する管理費及び特別修繕費なども、これに当たります。

もっとも、先週の水曜日(11日)、法制審議会が民法改正の要綱案を決定したことが報道されました。要綱案では、上記民法169条は削除されています。要綱仮案は、職業別の短期消滅時効制度(民法170条~174条)を廃止して、「権利を行使することができる時から10年(客観的起算点)」という現行民法の枠組みを維持しつつ、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(主観的起算点)」という時効期間を新たに加え、どちらかの期間が満了した時に消滅時効が完成するとしています。そのため、5年の消滅時効を定めた民法169条は独自の存在意義を失ったというわけです。

受信料債権については、169条が削除されたとしても、上記の主観的起算点から5年の時効期間が適用され、結論は変わらないと思いますが、民法が改正された場合、適用条文に気を配る必要がありそうです(法制審議会のウェブサイトで公開されている資料によれば、消滅時効の期間及び起算点に関する規定は、当事者の予測可能性や債権管理上に支障を生じさせないため、基本的には、債権発生時期が改正法施行日前の場合は現行民法が、施行日後の場合は改正法が適用されるようです。)