どちらが説得的か

裁判の書面を作成するときには、具体的な事実を書くということを意識しています。

事実を示したうえ、それを分析評価するのはよいのですが、事実が書かれていないのに、主観的な評価ばかりを記載した書面が意外に多いのではないかと思います。例えば、「Aの行為は極めて悪質である」と記載しても、それは評価にすぎず、どのような事実があったのかが分かりません。

感情的な表現や攻撃的な言葉を使用した書面は、一見迫力があるかのように思えます。依頼者は、そのような書面を読むと、胸がすく思いがするのかもしれません。ですが、ただそれだけのことで説得力はありません。むしろ、淡々と、丹念に事実を記載した書面は、とても説得力があります。

これは尋問においても同様で、自らの主観的評価を尋問対象者に押しつけるだけの尋問は、何も得るものがありません。ですが、事実の確認を積み重ね、矛盾を浮かび上がらせるような尋問は、たとえ静かで穏やかな口調であっても、やはり迫力があります。