時効の話

 講演依頼をいただいたことがご縁で、30代の女性を中心とした集まりに参加しました。仕事中心の毎日ですと、同業者以外の方々と知り合う機会が意外と少ないものです。同年代の意識の高い女性とお会いすると新鮮な気持ちになれます。その集まりでは、定期的に外部から招いた講師による講演やセミナーなどをしていました。

 その企画で、私に法律に関する時事問題について話をしてほしいということになりました。ちょうどその頃、公訴時効に関するニュースが話題になっていました。公訴時効とは、犯罪行為から一定期間が経過すると起訴できなくなるという制度です。現在、死刑にあたる罪の公訴時効は25年、無期懲役にあたる罪の公訴時効は15年と定められているのですが、この期間の撤廃・延長の是非が議論されています。

 また、身近な法律である民法には、消滅時効という制度があります。消滅時効とは、一定期間権利を行使しないと、その権利が消滅してしまうという制度です。これは、長く続いた事実状態を尊重する、権利があるのに長い間これを行使しない者を保護しないというのが制度趣旨です。

 現在の民法は、約100年前にできた法律なのですが、数年後に大改正される見通しです。新聞やニュースでも大きく取り上げられ、現在、活発な議論がなされています。私は、愛知県弁護士会で司法制度調査委員会という委員会に所属し、その委員会で民法改正について研究し意見をまとめています。私たち弁護士も、最初から勉強し直さなければならないほどの大改正です。

 例えば、消滅時効について、現在の民法では、権利の種類に応じて期間が異なっています。消滅時効は原則10年とされていますが、例えば診療費用は3年、習い事の月謝は2年、宿泊費や飲食代は1年と短くされています。しかし、現在、改正案として、一律に3~5年、当事者双方の合意によって期間を決めるという案が出ています。

 企画の参加者は、時効について、それぞれご自分の意見をもっていらっしゃいました。毎日法律に関する仕事をしていると、法律に書かれていることが何でも当たり前のような感覚を持ってしまうことがあります。ですから、同業者以外の方々の法律問題に対する意見をお聞きするのはとても新鮮で、大変参考になりました。