調停官の仕事

9月末に、2年間の民事調停官の任期を終えました。調停官は非常勤裁判官ともいいます。民事調停官は、弁護士が、弁護士としての業務を続けながら、週1回、簡易裁判所において、裁判官と同等の立場で調停手続を担当します。

民事調停で取り扱う事件は、土地・建物の明渡し、お金の貸し借り、交通事故による損害賠償、隣りとの紛争(騒音、境界、日照被害)、建築紛争、医療過誤など多種多様です。これらの紛争を調停の場において話し合いで解決するので、調停は一番身近で利用しやすい紛争解決手段なのです。

ところが、調停の事件数が多く、その割には裁判官が少ないため、調停に裁判官が十分関与できず、調停委員にほとんどお任せという事件も少なくありません。確かに、調停委員の方は、自己の職業経験、社会経験を活かして、良い解決のために尽力されています。しかし、難しい事実認定の問題や法律問題が含まれる事件も多く、どうしても限界があります。

そこで、弁護士が非常勤の裁判官となって調停を主宰し、個々の事件の調停の場にも同席し、当事者双方から事情を聞きます。そして、事実認定の問題や法律問題について、弁護士としての経験、知識を生かして、調停をより充実させようということになったのです。

それにしても、週1日とはいえ、丸一日、事務所を不在にするというのは、大変なことでした。連絡が取れなかったり、日程調整が難しかったり、依頼者の方々にもご迷惑をおかけしたことと思います。

しかし、2年間、調停官の仕事をさせて頂いたことで、大変勉強になりました。民事調停は、あらゆる事件を取り扱うため、様々な事件を経験することができましたし、弁護士として、一方当事者の代理人として事件に関わるのと、裁判官として、中立な立場で事件に関わるのでは、自ずと視点が異なってきます。弁護士以外の立場を経験したことは、今後の仕事に大いに役立つものと思っています。

貴重な経験を無駄にしないよう、今後も努力していきたいです。